CSL堅調な通期決算で純利益23億7500万ドルを達成1
税引後純利益は23億7500万ドル、固定レート(CC)2 換算で 10%増、収益は CC2換算で10%増であり、堅調な通年業績を達成しました。
- COVID-19パンデミック渦中でも重要な事業は継続され、CSLが持つ回復力と機敏性を実証
- 主力となる皮下注用免疫グロブリン(Ig)製剤HIZENTRA®の強固な成長
- 遺伝性血管性浮腫(HAE)に対する主力製剤HAEGARDA®の強固な成長
- 中国では新たな流通モデルへの移行を完了し、アルブミン製剤の売上も通常レベルにまで回復
- Seqirusによるインフルエンザワクチン事業は極めて堅調
- 1 株当たり利益5.22ドル、CC2 換算で 10%増
- 最終配当3 1株当たり 1.18米ドル(約1.61 豪ドル、課税済み配当10%)
- 年間合計配当は 1 株当たり 2.22米ドル増加で、10%増
- 2021/22年度税引後純利益は、固定レート換算で約21億5,000万ドルから22億5,000万ドルの範囲になると予想
CSLの最高経営責任者兼マネジングダイレクターのポール・ペローは次のように述べています。「COVID-19パンデミックが全世界的にもたらした非常に困難な状況下にあっても堅調な業績をご報告できることを喜ばしく思います。
不確実性と複雑性という課題に対峙しなければならなかったにもかかわらず、CSLベーリングとSeqirusが行う重要な事業は全て継続され、救命・延命のための医薬品が世界中に提供されました。
社員が何事にも集中してひたむきに取り組んでいることを誇りに思います。これまでとは違う状況下で異なる働き方が求められましたが、患者さんとの約束を果たそうという固い決意が見受けられました。これは私たちのバリューに加え、CSLが持つ回復力と機敏性の証であるといえます。
市場を牽引する皮下注用免疫グロブリン製剤HIZENTRA®を中心として、CSLの主力となるフランチャイズである免疫グロブリン製剤ポートフォリオの業績にも継続的な伸びがみられています。HIZENTRA®の売上は15%2増と順調に伸びており、これは在宅投与を希望する人が増加しそれによって患者さんが得られるベネフィットが認識されたことと、進行性を示す神経炎である慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の治療薬として継続的な売上増が生じたことによります。
静注用免疫グロブリン製剤PRIVIGEN®の売上は多少減少がみられましたが、これは供給が厳しくなっていること、HIZENTRA®に切り替える患者さんの増加に拍車がかかっていることが要因となっています。
遺伝性血管性浮腫(HAE)の患者さんにとって変革をもたらす治療薬となり得るHAEGARDA®の売上は14%増2であり、患者需要の継続的な増加と、オンデマンド治療から定期補充療法への転換がこの成長を後押ししました。
アルブミン製剤の売上は61%増2と著しく伸びています。中国では新たな流通モデルへの移行が完了し通年での稼働となり、売上も通常レベルに回復しました。中国で取り入れた新たな事業モデルでは、180を超える販売代理店を直接管理できるため、地理的範囲の拡大につながるだけでなく、小売薬局や病院にまで深く浸透することが可能となります。
インフルエンザワクチン事業でのSeqirusの収益はCC2換算で30%増と、極めて堅調な業績を挙げています。この業績は、記録的な需要が引き起こした季節性インフルエンザワクチンの著しい伸びと、現在も進んでいるSeqirusが有する他社とは異なる高価値の製品ポートフォリオへの移行により達成されました。
本年は、世界中に安全かつ有効なインフルエンザワクチンを提供するというCSLの約束をさらに示す形で、オーストラリアに世界有数のバイオテクノロジー製造施設を新たに建設する計画を発表しました。この最先端の施設では、細胞ベースの技術を利用して、季節性インフルエンザワクチン接種プログラムとパンデミック・プログラムのいずれにも使用できるインフルエンザワクチンを製造する予定です。
さらに、mRNA技術、すなわちインフルエンザに対する次世代の自己増幅mRNAを対象とした研究も加速しています。前臨床試験の結果は有望であり、来年にはヒトを対象とした臨床試験を開始する予定です。」
COVID-19に対する対応
「COVID-19により、CSLの事業やサプライチェーン、特に多くの製剤の製造に欠かせない原料である血漿の採取という点で多くの課題が生じています。
COVID-19は業界全体の血漿採取に悪影響を与えましたが、CSLでは複数の取り組みを通じてこの影響を軽減し、患者さんが必要とする救命・延命のための医薬品を継続的に提供してきました。
研究開発(R&D)と革新に重きを置くCSLの方針は、これまでと同様、揺らぐことはありません。パンデミック当初から始まったCOVID-19との闘いの中で複数のR&Dプロジェクトが進んでいますが、その範囲はワクチン、モノクローナル抗体、血漿分画製剤にまで及び、これまでに例のないプログラムや提携などが行われています。
CSLは、オックスフォード大学とアストラゼネカ社が共同開発したCOVID-19ワクチンの製造契約を締結しています。また、クイーンズランド大学(UQ)とも協力してCOVID-19ワクチンの開発を試みました。
UQと行っていたワクチン候補の開発は中止されたものの、CSLでは、オーストラリア政府のためにオックスフォード大学とアストラゼネカ社の共同開発によるCOVID-19ワクチンを最大で5,000万回分製造することに力を入れる方針に転換し、COVID-19ワクチン開発の取り組みに対し多大な貢献をしています。」
主要項目
CSLベーリング
- 総収益6%増2
- HIZENTRA® 15%増2
- HAEGARDA®14%増2
- KCENTRA®7%増2
- アルブミン製剤61%増2
- デジタルトランスフォーメーションの取り組み
Seqirus
- 総収益30%増2
- 季節性インフルエンザワクチン売上41%増2
- 最高記録となる約1億3,000万 回分を達成
- FLUAD® QIVをアメリカで上市
- FLUCELVAX®をオーストラリアで上市
- インフルエンザパンデミックに対する新たな合意と合意の拡大
- オーストラリアに次世代のインフルエンザワクチン製造施設を建設予定
- MF59の供給を含む、COVID-19ワクチンに対する支援の提供
イノベーションと研究開発
- CSL112(ApoA-1)第III相臨床試験(AEGIS-II)は順調に進行中
- 13,000人超の患者登録
- 一次・二次無効解析は順調に終了
- 血友病Bの新たな遺伝子治療プログラムとなるEtranaDezについて、uniQure社と製品化・ライセンス契約を締結
- Garadacimabによる第III相試験に最初の患者を登録
- HAEGARDA®の小児患者での使用に対し承認取得(アメリカ、オーストラリア、カナダ)
- IDELVION®の投与間隔を21日に延長することに対し日本で承認を取得
- 糖尿病性腎疾患を対象としたCSL346(抗VEG-B)第II相試験に最初の患者を登録
- CIDPの適応を持つPRIVIGEN® 日本で新規格を導入
- aQIVcによる第II相試験を開始
- インフルエンザに対する次世代の自己増幅mRNA技術を対象とした前臨床評価が完了
人財と企業文化
- フォーブス誌が発表したWorld’s Best Employersに4年連続でCSLがランクイン
- 主要リーダーシップ着任:
- Joy Linton – Chief Financial Officer
- Mark Hill – Chief Digital Information Officer
効率性
- 25カ所に血漿採取センターを新設。2022年度には最大40カ所に新設する予定
- 新たな血漿成分採取プラットフォームの導入を目指しTerumo社と提携
- スイスのベルンに最先端の免疫グロブリン製剤製造施設が新たに完成
- ブロードメドウズにある9億豪ドルを投じた基礎分画施設は順調に稼動
- メルボルンにおける新たなグローバル拠点の設立に向け順調に進捗
- Seqirusによる充填・包装施設の拡張プロジェクトがリバプールとホーリースプリングスで順調に進捗
見通し(2021営業年度為替レートに基づく)
CSL の業績見通しについて、ポール・ペローは次のように述べています。「COVID-19は一生に一度あるかないかの事態です。これに対してCSLが取ることができた対応を誇りに思うと同時に強固な成長へもどることを確信しています。
当社の主力となる血漿分画製剤に対する需要は引き続き安定しています。
これまでに実施した複数の取り組みを受けて、血漿採取状況は引き続き改善していくと予想されます。COVID-19ワクチンが世界的に浸透しつつあることを鑑み、私個人としては人々の移動が増大し状況が平常化すれば世界的な景気回復につながるだろうという明るい見通しを持っています。血漿分画製剤の製造に要する期間は9~12カ月です。現在、血漿採取量が増えつつあることは、患者さんに届ける製剤の供給量を増加できるという私達の期待の裏付けとなっています。
Seqirusによるインフルエンザワクチン事業の業績は引き続き好調となると予想され、他社とは異なる製品ポートフォリオとインフルエンザワクチンに対する需要の高まりに支えられ、今年度も堅調な年となると思われます。
上半期業績の発表時に利益幅の減少が想定されることを予め示しました。原料血漿の確保に要する費用の増加を受けてのことですが、この状況は2021/22年度も続くでしょう。CSLでは2022年度を、投資を継続しつつ長期戦略に沿うものとする過渡的な年度と捉えています。
2022年度税引後純利益は、固定レート換算で約21億5,000万ドルから22億5,000万ドルの範囲になると予想しています。」
詳細情報
CSLの決算内容に関する詳細は、当社4Eステートメント、投資家向け発表スライド、およびウェブキャストをご覧ください。いずれもCSLのウェブサイト www.csl.com に掲載されています。医療用語の説明についてもウェブサイトでご覧いただけます。
詳細については下記までご連絡ください。
Investors:
Mark Dehring
VP Investor Relations
CSL Limited
Telephone: +61 3 9389 3407
Email: mark.dehring@csl.com.au
Media:
Jimmy Baker
Communications
CSL Limited
Mobile +61 450 909 211
Email: jimmy.baker@csl.com.au
® CSLまたはその関連会社の登録商標
グループ業績
6月末通期決算 (単位:百万米ドル) |
6月 2020 報告値 |
6月 2021 報告値 |
6月 2021 CC2 |
変動 % |
|
|
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|
売上 |
8,797 |
9,980 |
9,705 |
10% |
その他の収入 |
354 |
330 |
321 |
|
総収入 |
9,151 |
10,310 |
10,026 |
10% |
|
|
|
|
|
EBITA(金利・税金・償却前利益) |
3,137 |
3,720 |
3,605 |
15% |
減価償却費 |
(420) |
(590) |
(580) |
|
EBIT(金利・税金前利益) |
2,717 |
3,130 |
3,025 |
11% |
支払利息 |
(144) |
(167) |
(153) |
|
税金費用 |
(470) |
(588) |
(565) |
|
税引後純利益 |
2,103 |
2,375 |
2,307 |
10% |
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合計配当(米ドル) EPS(米ドル) |
2.02 4.63 |
2.22 5.22 |
5.07 |
10% 10% |
1 数値は全て、別途記載のない限り米ドルです。
2 固定レート(CC)換算によって為替変動の影響を除き、業績を比較しやすくしています。詳細は 2021年6 月を期末とする CSL の財務レポート(Directors’ Report)をご参照ください。
3 オーストラリアの住所が登録されている株主には、1 株当たりの最終配当 1.18 米ドル(約 1.61豪ドル)はオーストラリアの税務上の目的で10%上乗せされ、2021年 9 月 30日に支払われます。ニュージーランドの住所が登録されている株主には、1 株当たりの最終配当 1.18 米ドル(約 1.68 ニュージーランドドル)は 2021年 9月 30 日に支払われます。為替レートは基準日である 2021年 9 月 3 日のものとします。その他の株主には、指定のない限り米ドル建てで支払います。CSL では株主に対し、米国の銀行口座への直接振込により米ドル建てで配当支払いが受けられる機会も提供しています。
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日本における連絡先:
CSLベーリング株式会社 -CSLグループ会社、CSLベーリングの日本法人
コーポレートコミュニケーション
電話:03-3534-5735 Fax:03-3534-5864