決算ハイライト4
- 売上高133億1,000万ドル、恒常為替レート(CC)3で31%増
- 税引後純利益(NPAT) 9億ドル1で3%減
- 恒常為替レート(CC)3でNPATは4億ドル1で8%増
- NPATA は1億ドル1,2、10%増
- 恒常為替レート(CC)3でNPATA は6億ドル1,2で20%増
- 1株当たりNPATA1,2は412ドルで6%増
- 恒常為替レート(CC)3で1株当たりNPATA1,2は92ドルで17%増
- 1株当たり29米ドルの最終配当5
- 通年配当は36米ドルで6%増
- オーストラリア通貨に換算すると、通年の配当総額は一株当たり約59豪ドルで13%増
- 24年度のNPATA1,2は、恒常為替レート(CC)3で約29億ドルから30億ドルの範囲と予想
CSL Limited(オーストラリア証券取引所:CSL、米国店頭市場:CSLLY)は本日、2023年6月30日に終了した12か月間の税引き後純利益が、恒常為替レートベースで8%増の21.9億ドル1となったことを発表しました3。実質的な利益(NPATA)は26.1億ドル1,2、恒常為替レートベースで20%増の28.6億ドル1,2,3でした。
CSLのCEO兼マネージング・ディレクターであるポール・マッケンジーは、次のように述べています。「2023年度は、厳しい事業環境の中にありながら、好調な業績を達成することができました。CSL Behringの事業は、免疫グロブリンの売上の顕著な伸びと血漿採取量の記録的な伸びにより、力強く回復しました。
インフレと為替の逆風を免れたわけではありませんが、グローバルな製造拠点網の効率改善に注力した結果、その影響を軽減することができました。私たちは、革新的な医薬品を提供することで患者さんに貢献し、公衆衛生を守るという戦略を実行することに引き続き注力してきました。それにより、社員の努力と相まって、現在100か国以上に展開しているCSLと患者さんにポジティブな勢いをもたらしています。
この間、Vifor Pharmaの買収を成功裏に完了することができました。CSL ViforがCSLの傘下に入ってまだ日が浅いものの、統合は順調に進行しており、コストシナジーも着実に進展しています。
FDAが年初に成人の血友病Bの治療に用いる最初で唯一の遺伝子治療薬 HEMGENIX®を承認した後、HEMGENIX®で最初の患者さんを治療したことは、間違いなく当期のハイライトでした」
業績
CSL Behring
総収益は92億9,000万ドルで、前年同期比12%増3でした。
免疫グロブリン(Ig)製剤の売上高は46億7,500万ドルで、世界的な供給量の力強い回復に伴い、全地域で力強い伸びを記録し、21%増3となりました。
ピリヴィジェン®(液状静注用人免疫グロブリン製剤)の売上は、パンデミックからの需要回復が続き、患者さんの診断と新規患者さんが着実に増加していることから、29%3という高い伸びを示しました。
ハイゼントラ®(皮下注用人免疫グロブリン製剤)の売上は、患者さんの診断率が改善し、新規患者が増加していることから、12%3増加しました。
主要な適応症である原発性免疫不全症候群、続発性免疫不全症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)の患者さんの治療ニーズが高いことから、Igに対する需要は引き続き高い状況です。
アルブミンの売上高は11億900万ドルで、11%増3でした。新型コロナ関連の規制が緩和され、中国での販売は好調に増加しました。供給量が改善したため、米国と欧州でも堅調な伸びを記録しました。
血友病製品の売上高は11億9,300万ドルで8%増3でした。
イデルビオン®は、CSL Behringの新規の半減期延長型遺伝子組換え第IX因子製剤で、新型コロナ後に医療従事者への患者さんの受診が増加したため、13%3の高い成長を達成しました。
血友病Bに対する最初で唯一の遺伝子治療薬HEMGENIX®が米国で成功裏に発売されました。(国内未承認)
血友病A市場は引き続き競争が激しく、新規の遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤であるエイフスチラ ®の売上は小幅の伸びとなり、血漿由来製剤の売上は減少しました。
スペシャリティ製品の売上高は、ケイセントラ®とZEMAIRA®の需要に牽引され、6%3増の18億3,100万ドルとなりました。
ケイセントラ®(静注用人プロトロンビン複合体製剤)の売上高は、新型コロナ後の社会的流動性の高まりを受け、10%3の売上成長を記録しました。
ZEMAIRA®(人α1-プロテイナーゼ阻害剤)の売上は、供給が回復したことにより24%3増加しました。
血漿採取
血漿の採取は好調で、血漿量は31%増加し、記録的な水準となりました。
新型コロナ後の社会的流動性の向上、ターゲットを絞ったマーケティング、ドナーのためのデジタル施策の強化など、そのすべてがこの前例のない成長に貢献しました。
ドナーの報酬と労働力を含む血漿の採取コストは、前年比約14%減少し、2022年3月のピークから約17%減少しました。
血漿供給量の大幅な増加は、CSLの血漿分画製剤の製造能力を支え、血漿由来製品に対する患者さんからの需要に応えることができます。
CSL Seqirus
総収益は、季節性インフルエンザワクチン、特に30%3増加したFLUCELVAX®の成長に牽引され、9%3増の20億3,100万ドルとなりました。
この成長は、予防接種率の低下の状況下に達成されたもので、CSL Seqirusの戦略と差別化された高価値の製品ポートフォリオの強さを浮き彫りにしています。
当期間中に以下の進展がありました。
- Arcturus Therapeutics社と次世代mRNAワクチン技術のライセンス契約を締結
- FLUCELVAX®の接種対象目安月齢6か月以上が、米国、アルゼンチン、カナダ、台湾、オーストラリア、ニュージーランドで承認
- 米国疾病管理予防センターは、FLUAD®を65歳以上の成人に優先的に推奨される季節性ワクチンの選択肢として承認
- ホーリースプリングスとリバプールで充填と最終製品化の生産能力拡大がフル稼動
- メルボルンでの新細胞培養インフルエンザワクチン施設の建設は順調に進んでおり、2026年に稼働を予定
CSL Vifor
2022年8月9日の事業買収から約11か月の総収益は19億8,900万ドルとなりました。これは、CSL買収前の22年度の11か月間と比較すると約14%の成長3,6であり、すべての主要製品分野における堅調な成長を反映しています。
CSL Viforの統合およびコスト相乗効果は順調に進展しています。
この間、米国ではInjectafer®(カルボキシマルトース第二鉄)が成人の心不全患者における鉄欠乏性貧血の治療薬として承認され、中国ではFerinject®が2023年4月に発売されました。
経費実績
研究開発費(R&D)は12億3,200万ドル9で、前年同期比22%増3でした。費用の増加は、CSL Viforの統合とパイプラインの進展を反映したものです。
販売・マーケティング費用(S&M)は14億5,400万ドル9で、前年比58%3の増加でした。CSL Viforが初めて販管費に含まれたことが販管費の増加要因であり、その他の販管費は前年並みとなりました。
一般管理費(G&A)は9億700万ドル9で、前年同期比27%3の増加で、これはCSL Viforの連結に関連したものです。
減価償却費、償却費および減損(D&A) は8億3,100万ドル9で、前年同期比27%3の増加で、これは主にCSL Viforの連結によるものです。
純金融費用は4億600万ドル9で、165%増3。純金融費用の増加は、Vifor Pharmaの買収に伴う借入金と金利の上昇によるものです。
財務状況
営業キャッシュフローは1%減の26億100万ドル。現金収益の伸びは血漿採取の伸びにより相殺されました。
投資キャッシュフローは118億4,300万ドルで、Vifor Pharmaの買収により前年同期に比べ大幅に増加しました。
CSLの貸借対照表(バランスシート)は、純資産が178億2,600万ドルとなり、引き続き良好な状態にあります。
流動資産は44%減の92億5,900万ドル。主な要因は、Vifor Pharma買収に伴う現金支払いでした。
非流動資産は前年度比127%増の269億7,500万ドル。この増加は、主にVifor Pharmaの買収と、買収により認識された無形資産によるものです。
流動負債は35%減の46億800万ドル。これは主に、Vifor Pharmaの買収完了に伴い強制償還条項が削除されたため、144Aシニアノートを流動から非流動に再分類したことによるものです。
非流動負債は前年度比107%増の138億ドル。これは、Vifor Pharma買収に伴う有利子負債および借入金に加え、Vifor Pharma買収に伴う銀行借入の実行によるものです。
イノベーションおよび開発
主なハイライトは次のとおりです。
- 米国でFDA承認の血友病Bに対する初の遺伝子治療薬HEMGENIX®を最初の患者さんに投与
- CSL112(ApoA-1)の第III相試験(AEGIS-II)が終了し、2024年初頭に結果が出る見込みです
- 遺伝性血管性浮腫の治療薬Garadacimab(抗FXIIa薬)、国際的な承認申請に向けて準備中
- Arcturus Therapeutics社と次世代mRNAプラットフォームテクノロジーに関するグローバルな提携およびライセンス契約を締結
- アジュバント細胞培養インフルエンザワクチン(aQIVc)は、第III相試験に向けて順調に推移
- ドイツのマールブルグと米国のウォルサムに最先端の研究開発センターを新設
- オーストラリア・メルボルンにCSLの新グローバル本社および研究開発センターを開設
人材と企業文化
- 2023年3月6日付でポール・マッケンジーを新CEO兼マネージング・ディレクターに任命
- アンディ・シュメルツがCSL Behring のHeadとして2023年6月30日付でCSLに入社、ビル・キャンベル(Executive Vice President, Chief Commercial Officer)は2023年12月に退任予定
- ジェフリー・ボールが2023年7月1日付でChief Sustainability Officer に昇格
- ケン・リムが2023年8月1日付でExecutive Vice President, Strategy and Business Development に昇格
- ケイト・プリーストマンが2023年9月11日付でHead of Corporate and External Affairsに就任
効率性
- 新たに12か所の血漿採取センターを開設
- 新たな血漿交換機器であるRIKAの導入を開始
- デジタルトランスフォーメーションへの取り組みを継続的に推進
- ブロードメドーズおよびマールブルク施設における塩基分画施設の拡張が完了し、承認を取得
- 複数の製造生産量向上に向けての取り組みが進行中
サステナビリティ
- 科学に基づく目標設定(Science Based Targets)イニシアチブに直接・間接排出削減目標を提出し、検証と承認を依頼
- 再生可能資源からの購入電力の割合増加によるスコープ1およびスコープ2の温室効果ガス排出量の削減
- CSLのスコープ3総排出量の8%に相当するスコープ3サプライヤーとのコミュニケーションの4つのウェーブのうち最初のウェーブが完了し、対象となるすべてのサプライヤーが2024年までにSBTiまたは科学に基づく整合目標を設定、またはSBTiまたは科学に基づく整合目標を設定する予定
- 新たに開設したグローバル本社は、オーストラリア・グリーンビルディング評議会から5つ星の評価を取得
- マールブルク製造施設では、調達電力の100%再生可能エネルギー化を達成
将来の展望
CSLの展望について、CEO ポール・マッケンジーは次のように述べています。「当社の免疫グロブリンフランチャイズの力強い成長は、23年度の記録的な血漿採取により、今後も続くと予想されます。
血漿採取コストの最適化、製造生産量の改善、新製品の市場投入など、効率改善のための様々な取り組みが進行中であり、これらすべてがCSL Behringの売上総利益率の中期的な回復を支えることになります。
前四半期に米国で発売されたHEMGENIX®は、今後1年間、米国と欧州の血友病Bコミュニティにパラダイムシフトをもたらし続けるでしょう。当社の研究開発パイプラインには、終了間近の後期段階のプログラムが数多くあり、患者さんや公衆衛生の保護に、より多くの選択肢を提供できるでしょう。
CSL Seqirusは、差別化された製品への需要に牽引され、今年も好調な業績を収めることが期待されます。CSL Seqirusでは、次世代mRNA新型コロナウイルスワクチン技術に対するグローバル登録が進行中です。
CSL Viforについては、新たに買収した事業の価値と成長を引き出すことに注力しています。中期的な展望を支えるために、研究開発能力を1つの研究開発組織に統合する作業が進行中です。また、腎臓内科と移植の治療領域の統合やCSL ViforとCSL Behringの強みを生かした患者血液管理イニシアチブを数多く進めています。
24年度の収益成長率は、為替変動の影響を除いたベースで、23年度を約9~11%上回る見込みです3。24年度のCSLの実質的な利益、NPATA1,2は、為替変動の影響を除いたベースで約29億米ドル~30億ドルの範囲になると予想されます3。23年度比で約13~17%の伸びとなります7」
24年度における当社の財務予測を作成するにあたり、ガイダンスに大きな影響を及ぼしうるいくつかの主要な変数を特定し、これらについては脚注に記載しました8。
追加情報
CSLの決算内容に関する詳細は、当社の4Eステートメント、投資家向けプレゼンテーションスライド、ウェブキャストをご覧ください。これらすべては当社のウェブサイト:www.csl.comに掲載されています。医療用語の用語集もウェブサイトでご覧いただけます。
グループ業績
6月を年度末とする通年 |
2022年6月 報告値 |
2023年6月 報告値 |
2023年6月 CCによる3 |
変動 % |
100万米ドル |
||||
売上高 |
10,136 |
12,776 |
13,270 |
(31%) |
その他の収入/所得 |
426 |
534 |
556 |
(31%) |
総収入/所得 |
10,562 |
13,310 |
13,826 |
31% |
支払利息・税金・減価償却・償却控除前利益(EBITDA) |
3,595 |
3,900 |
4,240 |
18% |
減価償却費/償却費/減損 |
(553) |
(596) |
(607) |
10% |
買収に伴うその他の調整 |
40 |
353 |
346 |
|
支払利息・税引前利益(EBIT)9 |
3,082 |
3,657 |
3,978 |
29% |
純金利費用 |
(147) |
(406) |
(390) |
165% |
税金費用9 |
(554) |
(504) |
(594) |
7% |
NPATA2 |
2,381 |
2,747 |
2,994 |
26% |
買収した無形資産の償却 |
(115) |
(235) |
(239) |
|
買収に伴うその他の調整 |
(40) |
(353) |
(346) |
|
上記調整額に対する法人所得税 |
29 |
85 |
84 |
|
税引後純利益 |
2,255 |
2,244 |
2,493 |
11% |
NPATAは、以下に帰属します: |
|
|
|
|
- CSL Limitedの株主 |
2,381 |
2,610 |
2,855 |
20% |
- 非支配株主持分 |
|
137 |
139 |
|
NPATは、以下に帰属します: |
|
|
|
|
- CSL Limitedの株主 |
2,255 |
2,194 |
2,441 |
8% |
- 非支配株主持分 |
|
50 |
52 |
|
1株当たりNPATA2 1 |
5.08 |
5.41 |
|
6% |
配当金総額(米ドル) |
2.22 |
2.36 |
|
6% |
1 CSL株主に帰属します。
2 取得した知的財産、企業買収および統合費用、在庫の公正価値上昇の巻き戻しを減損および償却する前の税引後法定純利益(NPAT)。
3 恒常為替レート(CC)は為替レート変動の影響を除いて、業績の比較を容易にします。詳細については、2023年6月を年度末とするCSLの財務諸表(Directors Report)を参照してください。
4 すべての数字は、別途記載がない限り、米ドルで表記されています。
5 オーストラリアに登録住所がある株主には、1株当たりの最終配当1.29米ドル(約1.97オーストラリアドル)が、2023年10月4日に支払われます。ニュージーランドに登録住所がある株主には、1株当たりの最終配当1.29米ドル(約2.13ニュージーランドドル)が、2023年10月4日に支払われます。為替レートは、2023年9月12日の基準日で固定されます。その他すべての株主には、米ドル建てで支払われます。CSLは、株主に対し、米国の銀行口座への直接振り込みにより米ドル建てで配当支払いを受けられる機会も提供しています。
6 CSL所有権取得前の22年度の未監査の11か月間と、23年度の11か月間の比較
7 成長率は2023年度の単発の不動産売却益(NPATA 4,400万ドル)を除く。
8 実際の主要業績がガイダンスと大きく変化しうる主な要因としては、以下が挙げられます:研究開発活動における成功度および実施時期、当社製品への承認に関する規制当局の決定ならびにラベル表示に関する判断、当社製品に影響を及ぼす他社の製品開発、新規、既存製品を対象とするマーケティング活動を成功させる能力、製造における問題点あるいは遅延、血漿回収能力、貿易における購買パターンならびに金利、為替レートの変動、製品の製造、流通、価格、払戻、アクセス、または税に影響を及ぼす法制または規制、買収および売却、コラボレーションによる研究活動、訴訟または政府機関による調査、および、所有する特許および他の知的財産権を保護する当社の能力。
9 基礎的な業績は、取得した知的財産の減損と償却(2億3,500万米ドル)、企業買収と統合費用、在庫の公正価値上昇の巻き戻しを除外して調整しています。
® CSL Limitedまたはその関連会社の商標
全般的な免責事項
非IFRS
本レポート文書には、IFRS(国際財務報告基準)に準拠した財務情報と、IFRSに基づかない財務情報が含まれています。非IFRSの財務指標とは、関連する会計基準により定義または特定されていない財務指標であり、他社における情報と直接比較できない場合があります。非IFRSの財務指標は、複数の報告期間にわたる情報の比較可能性を高めることで、財務パフォーマンスについて一層の洞察および異なる視点を提供する目的で使用するものです。非IFRSの財務情報は、IFRSに基づく財務情報および指標を参照しながら理解すべきであり、後者を置き換えることを意図したものではありません。非IFRSの財務指標は、監査やレビューの対象となりません。
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お問い合わせ先
CSLベーリング株式会社 コーポレート コミュニケーション
電話:03-4213-0183